黒い虹と気球

小説や漫画の本中心に感想を書きます (本によって発売直後に感想を書いている場合があります。ネタバレなどにはご注意ください)

映画『夜は短し歩けよ乙女』: 感想

本日公開された映画『夜は短し歩けよ乙女』を観に行って参りました。

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何ヶ月も前からずっと待ってました(笑)。

期待あり不安ありで一体どんな風になるのだろうと思ってたのですが。

(...花澤香菜さんすげえ!)

とにかく演技がすごい。音楽や演出も素晴らしかったのですが、一番魅せていたのは花澤香菜さんの演技力でした。やはり声優さんはすごいです。見事キャラクターになりきっています。

さて肝心の中身はというと、やはり原作の分量は95分という制約の中では収めきれず、序盤は説明も早口で駆け抜けていきます(原作をあらかじめ読んでおかないと絶対ついていけないです)。それとオリジナル展開などがあり(四畳半神話大系に出てきた小津(?)に似た古本屋の神様が出てきたりしてます)、原作ファンだった自分には少し残念でした。

ただ先ほども言いましたが演出は素晴しい。映画だからこその音楽の迫力、テンポはきっちり組まれており、とても楽しめました。

 

けれどこの映画をお勧めできるかと聞かれると...万人受けでは無いかな、と感じます。

明らかにファン向けに作られた映画かと。「詭弁踊り」「偽電気ブラン」「天狗」など森見作品を読んでいないとさっぱり分からないワードが飛び交うので初めて見る方にはお勧めできないです。

逆に『四畳半神話大系』を読んでおられる(もしくはアニメで観ておられる)ファンの方には強くお勧めできる内容となっています。

 

(追記)

初日のレイトショーで観に行ったのですが客層は高校生〜大学生の方がほとんどでした。ブログ主も大学生なのでやはり森見さんは学生の方の支持が多いんだな、と感じました。

ただ「詭弁踊り」の所、誰も笑ってなくて完全に滑ってたのはやはりギャップがあるんですかね...

 

『キノの旅』を振り返る

お久しぶりです。生きてます元気です。

 

さて、今月は『キノの旅』です。

キノの旅 the Beautiful World<キノの旅> (電撃文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/B00O4QK3IK/ref=cm_sw_r_cp_api_OORXybPDQFQS3

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みなさん『キノの旅』というライトノベルをご存知でしょうか。2000年に一巻が発売され、2003年にはテレビアニメ化、2005年には劇場アニメ化を果たした"大"人気ノベルです。

個人的にも五本の指に入るライトノベルの名作だと思っています。

筆者も小学生の時に友達(だったかな...もう忘れてる(笑))に勧められて読んだ時はその世界観にとても惹かれたのを覚えてます。同じ頃にアニメもやってたと思うんですが、筆者は「ケロロ軍曹」ばっかり観てました(笑)。

中学生になってからはブックオフで全巻読破してやろうと数週間篭ってた気がします。店員さんにしたら良い迷惑なのかもしれない、本当すみませんでした。

そんな思い出深い小説「キノの旅」をどうして今頃取り上げるのかと言いますと...

 

なんと、「テレビアニメ化」が決定したのです。

 

えっテレビアニメ化って2003年にもしてるんじゃないかと一瞬疑問に思いましたが、どうやらもう一度アニメ化するみたいです。「鋼の錬金術師」の二度のアニメ化のような、そういう感じでしょうか。

正直、懐かしいなと感じました。もちろんとっても嬉しいのですが、もう読んでから何年も経ってるし、どんな話があったかかなり忘れてしまってる。

そこで、本当に今更なんですがもう一度読んでみようということになりました。

けれど本棚に「キノの旅」があるはずもなく(全て立ち読みで済ませてしまったため)、20巻揃えられる財力も残念ながらありません。

ここで最終奥義「ブックオフ」です。

ブックオフは本当に読めればいい(といったら失礼ですね(笑))本を買う時にしか使わないので、少し躊躇われましたが今回は止むなく利用させていただきました。

奥の方に追いやられているライトノベルコーナーを眺めながら、見つけましたよ「キノの旅」!

じゃん。

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状態がとても綺麗で価格はなんと108円。名作をこんなに安く売ってくれるブックオフさん、感謝です。

家に帰って読んでる時は「懐かしいなぁ」の連続でした。

短編形式で読みやすく、スラスラ読めるのも魅力ですね。色んな国をキノたちと旅してる感覚は読んでいてとても楽しいです。

今回は2巻のみしか買っていませんが(状態が良いのが2巻までしかなかった...)今後買い続けるかはまだ未定です。中学の時でも7、8巻ぐらいしか読めてなかったと思うので、アニメ始まる前までに全部読みたいのは山々なんですが。うーん...読みたい。誰か譲ってくれー(笑)。

 

(追記)

作者さんの書影読んで吹きました。f:id:galileo8:20170314002442j:image 

集合写真て(笑)。地球じゃん!

 

 

 

『#こんなブラック・ジャックはイヤだ』: 感想

#こんなブラック・ジャックはイヤだ (エヌ・オー・コミックス) https://www.amazon.co.jp/dp/4778034015/ref=cm_sw_r_cp_api_tDyIyb0KFPGDW

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(※昨日(1/25)まで在庫切れしていたようですが、現在は復活しています)

 

読後、打ちのめされました。もしかしたら今年一番の作品をいきなり引き当てたかもしれない...と思うほどに(まだ1月なのにいいのか?笑)。

 

本家である手塚作品の『ブラック・ジャック』が好きな方だったらキャラ崩壊こそあるものの「とても満足できる」内容となっています。逆に本家を読んでいなければ楽しめない部分が所々あるので、この本を読む前に本家の方を先に読んでおくことをお薦めします。

 

この作品の魅力はやはり手塚治虫さんの『ブラック・ジャック』では見ることのできなかったブラック・ジャック達が描かれている所です。

 

『ミドル・メンズの章』では本来揃うはずのない、黒男・キリコ・間久部の三人がSNSについて語り合ったり、まさに「こんなブラック・ジャックは嫌だ!」と言いたくなるような馬鹿らしい発言が飛び交っています。"キャラ崩壊"と言ってしまえばそれまでなのですが、ブログ主は「全然OK」でした。むしろ「面白い!」という感情が勝ってしまって、違和感は不思議と感じませんでした。

 

『学ラン・ブルースの章』では、やはりこれも手塚作品では見られなかった、「黒男達の学生生活!笑」 を見ることができます。間久部...原作ではそんなに見ることなかったのに、なかなか良いキャラしてるぜ笑。

 

『現代的レシピの章』は水道水を水道水で割ると水道水の味がする発見をした、ブラック・ジャック氏による料理教室!「ひとりぐらしマンが食費も洗い物も減らしてまあごく普通にテキトーに酒が飲める現代的レシピ」を教えてくれるそうです。ここまで聞いても頭がおかしくなりそうですが、意外と本人、"料理に関しては"まともなことを言っています笑。

 

そして『正気に戻るの章』。この畳み掛けは反則だろ!と言いたくなるような、まさにファンサービスが多く詰まった話が入っています。手塚先生の登場、黒男の帰りが2週間遅くなり留守番するピノコピノコの表情やしぐさがもしかしたら本家以上に豊かに描かれてる。

 

この本の作者さん、つのがいさんという方を知ったのも「『#こんなブラック・ジャックはイヤだ』がなんと書籍化されます!」というツイートを見かけてからで、それまでツイッターに漫画を載せてることも知りませんでした。

前情報知らずに『すげえ、手塚先生が描いたみたい!』というノリで買うのを決心したため(失礼)、今読んでとても驚いています。

 

巻末のカラーイラストもすごく綺麗で、後で調べたら既にツイッターに載せられてた絵だと知って。すごい(さっきからすごいしか言えてない笑)。

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こんな人を何故今まで知らなかったんだろう...

非常に中身の濃い一冊でした。

 

これが一巻で、もし二巻が出るのだとしたら絶対買います。そして、つのがいさんの今後の活躍にも楽しみにしています。

 

つのがいさん

Twitter → @sunxoxome

ブログ→ http://tsunogai.blogspot.jp/

 

(追記)

ペーパーが貰えたのですが、思っていた大きさと違って驚きました(ポストカードサイズの小さいものだとばかり思ってました)。こういう所も個人的に嬉しかったりしてます。

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『バーナード嬢曰く。』: 感想

友人から『バーナード嬢曰く。』という漫画を薦められたのですが、

「ああ、アニメ化されたやつじゃん。そういやハヤカワ文庫とコラボもしてたな」

と、前情報はかなり聞いていて知っていました。

バーナード嬢曰く。: 1 (REXコミックス) https://www.amazon.co.jp/dp/B00JIFLWM8/ref=cm_sw_r_cp_api_AQvrybAEQY8N0

f:id:galileo8:20161205211831j:image(※画像は3巻の表紙です)

 

なぜか読んでなかったこの漫画、これを機に3巻一気に購入(俗にいう大人買いというやつです)、読みはじめることに。

そして読後。

「え、めっちゃ面白いじゃん、、」

なぜこんなに面白い漫画を今まで読んでいなかったのか後悔してしまうほどだった...いや、それでも読者は選ぶと思います。そうですね、「読書が大好き、読書に興味がある」じゃなくても「本をよく読む」という方にも合うかもしれません。あくまで個人的な感想ですが、ブログ主は最高に笑えました。この漫画でこんなに笑ったの自分だけかもしれない笑。

 

「読書家に憧れるけど本を読まない」女子高生、バーナード嬢(通称:ド嬢)と、旬のすぎたヒット作を読む遠藤くん、影で遠藤くんに惹かれる正統派読書家の長谷川さん、SFオタクの神林さんの4人による、「本好きにとってのあるある話」です。

もちろん読書家が一度は経験したことがあるだろう「あるある話」、ギャグ話もありますが、この漫画、それだけじゃありません。

この漫画の最大の魅力、それは、、

膨大な量の【参考文献】

これですね、、後ろのページを見ると読んだことある本、本屋でよく見かけて名前は知ってるけど読んだことない本、全く知らない本、がずらりと載せられています。

漫画を読んでいてこんなにたくさんの本について触れられたものは多分初めてです。

本好きに(特にSF小説が好きな方)にとっては「うんうん」と頷ける話があるかと思います。ブログ主はこの漫画に出てきた本、SFは特に読んでなかったので(「星を継ぐもの」をぎりぎり読んだ程度です、、)、ほとんど知らない話ばかりでした。これに影響されてもしかしたら読み始めるかもしれません。もちろんSFだけでなくミステリーや純文学の本も同様です。

 

ブログ主が最も共感した場面はこちら。

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わかる!!!笑

本を手に入れることが目的になるのは本好きとして違うとは思っていても、ついつい買ってしまうんだよね!

 

ていうかこの本の作者さん、電子書籍無抵抗で買い始めたって言ってるけど、自分はまだ紙の本しか読まないな。電子書籍用のタブレット買うべきかどうか、、みなさんは電子書籍、使ってますか?

 

(追記)

この漫画が影響で、「ハローサマー、グッドバイ(河出文庫 マイクル・コーニイ著)」「シリウス (ハヤカワ文庫SF オラフ・ステープルドン著)」などが気になったのですが、「シリウス」はAmazonでもう売っていないんですね、、再販されることを願ってます(「ハローサマー、グッドバイ」は買いました。現在進行で読み進めています)。

 

 

 

 

 

『いまさら翼といわれても』: 感想

とても久しぶりの米澤穂信さんです。

あれだけ『王とサーカス』を読むと言っておきながらやはり「古典部シリーズ続編」という煽りと早く読みたい欲に負けてしまいました。

古典部シリーズ」の続編はファンの人ほどではありませんが、密かに期待していました。ブログ主が『ふたりの距離の概算』を最後に読んだのはもう五年くらい前です...とても懐かしい。

もともと米澤穂信さんの小説はシリーズ物が多く、(私の知ってる限り「古典部シリーズ」、「小市民シリーズ」、「太刀洗シリーズ(太刀洗万智が登場する話)」の三つあります)どれも話の中身は勿論、登場人物の成長も同時に追いたくなるような作りになっています。

 

そのため今回の話も「古典部シリーズ」を知らない人は一作目の『氷菓』から読んでもらう必要があります。けれどアニメや漫画、最近では実写映画化などメディア化も多くされている作品なので、そこから知ってもらっても大丈夫です。

 

さて前置きはそのへんにして、感想を始めていきます。

 

いまさら翼といわれても https://www.amazon.co.jp/dp/4041047617/ref=cm_sw_r_cp_api_.BvpybZ0G78F0

 f:id:galileo8:20161129192834j:image

 

古典部シリーズ」は当初、ライトノベルとして作られていたこともあり、文章がとても読みやすいのが魅力です。それは本書『いまさら翼といわれても』でも例外ではありません。

それに加え、前作『ふたりの距離の概算』のような一つの話ではなく、複数の話が収録された短編集という形式になっています。

 

さて、その短編なのですが、全ての話を書いていくのも量的になかなか厳しいので、あらすじにしたあと、個人的に気に入った話を取り挙げて説明するという形を取らせていただきます。

 

・箱の中の欠落

とある日の夜、焼きそばを食べようとしていた折木奉太郎の元に福部里志からの電話がかかってくる。相談したいことがあると言った里志に夜も遅かったことからあまり乗り気ではなかった奉太郎だったが、里志の様子がいつもより沈んでいるのが電話越しで分かり、仕方なく二人の家の近くの橋で落ち合うことに。福部が持ち出してきた相談事は、その時から数時間前に起こった生徒会選挙の投票のことだった。

 

・鏡には映らない

中学のクラスメートと久しぶりに再会した伊原摩耶花は中学三年の頃、卒業制作で鏡を作った時の頃を思い出す。鏡を作ると言っても、実際は周りのフレームを彫刻するもので、クラスではそれぞれどの部分を担当するかグループによって決められていた。摩耶花たちは懸命に彫り進め、満足のいくものを作ったが、奉太郎は担当された部分のパーツをいかにも手抜きな出来ばえで提出し、結果的にクラスメイトから激しく非難されることになる。しかし高校の一年間奉太郎を見てきて「あいつは手抜きをするような人ではない」と思うようになった摩耶花は、その時の真相について振り返り、考えるようになる。

 

・連邦は晴れているか

いつものようにのんびり部室で会話をして過ごしていた四人。そんな中ヘリコプターが高校の上を通過する。奉太郎はそのヘリを見ながら昔、中学の教師がヘリ好きだったことを思い出す。同じ中学だった摩耶花もこのことを覚えており同意する。しかしそれ以降その教師はヘリの話題を持ち出さなくなり、すっきりしない何かが残った奉太郎は、古い新聞を調べるため図書館へ向かう。

 

・わたしたちの伝説の一冊

摩耶花の所属する漫画研究会は読みたい派と自分で描いてみたい派で大きく分立しており、河内先輩が部を辞めてからはその関係は悪くなる一方だった。そんな中、描いてみたい派の部員が摩耶花に部費を使って同人誌を描こうと持ち出してくる。どうやら読みたい派に対して既成事実を作って対抗したいらしい。部員全員の許可なしに部費を使うことに最初は抵抗する摩耶花だったが、漫画を描きたい欲求に負け、その同人誌作りに参加することになったのだが...

 

・長い休日

その日の奉太郎はやけに調子が良かった。それは朝に自分だけでなく姉の分の朝食を作り、良い天気だからと外に出かけ、長い階段を登って神社に参拝するほどだった。そして偶然にもその神社は学校の同級生である十文字かほの神社であり、その日は千反田えるもそこに居たのだった。調子の良い奉太郎はえるが手伝おうとしている掃除を自分も一緒に手伝うことを名乗り出る。その掃除をしながらえるは奉太郎に「どうして『やらなくても良いことはやらない、やらなければならないことは手短に』するようになったのかを尋ねる。

 

・いまさら翼といわれても

市民会館で行われる合唱会に参加することになったえる。しかし集合していておかしくない時間になってもえるは会館に姿を見せなかった。心配になった摩耶花は奉太郎にえるの捜索を依頼する。奉太郎は前日に部室でえるが進路のことについて書かれた本を読んでいたのを知っていた。

 

以上6編になります。

 

【注意】ここから先はブログ主のネタバレを含む感想となっています。未読の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

同じ短編集の『遠回りをする雛』と比べてとても内容の濃い6編だったと感じています。

本来の趣旨は最後の「いまさら翼といわれても」なのかもしれませんが、個人的に一番心に残ったのは「わたしたちの伝説の一冊」ですね。

あえてあらすじもこの話は少なめに書きました。動きのあったことは漫画研究会のことだけなんですがそれだけじゃない、この話は色々考えさせられることが多いです。

話の最初の方に奉太郎が中学一年の時に書いた読書感想文の話題が上ります。タイトルは「走れメロスを読んで」。あの奉太郎が男の友情物語を読むとは笑。想像出来ないなと思いながら感想文を読んでみると...

「え、この話ってそう読むものなの?」

もしかしたらこの短編集で一番驚いたのここなんじゃないかってくらい衝撃を受けました笑。

こんな捻くれた考え方を中学一年でする奉太郎も凄いなと思いつつ(まあ小説なので、現実じゃないので)、話は漫画研究会のことに移り。

クドリャフカの順番』の文化祭での漫画研究会はギスギスしてたな...と思っていたのにそれ以上に関係が悪化していることにがっかりさせられました(「河内先輩」って誰だったっけとなったのは自分だけだろうか、ものすごく昔の人のように感じる)。

純粋に漫画を描きたい摩耶花は勢力が二分する漫画研究会を何とか和解できないかと検討するのですが、結果は虚しく、最終的には同じ描きたい派の人間にもいいように使われていたことが分かり、何ていうか「酷い」としか言えません。

この話だけじゃなくて他の話にも言えることですが、「古典部シリーズ」、性格の悪い連中が多いですよね笑(本書でも「箱の中の欠落」、「鏡は映らない」「長い休日」にも同じく嫌な連中が出てきます。ほとんど全部だ笑)。その分登場人物たちの考えていることが浮き彫りになるっていうのもあるのかもしれません。今回も同じで、摩耶花に感情移入されっぱなしでした(途中泣きそうになりました)。

それだけに、最後に漫画研究会を辞める決心をしたのには、よし!って心の中で叫んでしまった。もうあんな空気の悪い所へは行かなくていい!って。これからも頑張れ摩耶花!

あとはそうですね、表題にもなっている「いまさら翼といわれても」にも少し触れさせていただきます。この話は今後の千反田さんにとっても大きな起点となる大事な話です。千反田家の跡継ぎという重圧から解放されたえるがこれからどうすればいいのか、その苦悩が伺えるものとなっています。もしこれが映像化されたら「バレンタイン事件」の時みたいな暗いえるを見ることになるんだろうな...見てみたいような見たくないような複雑な感じです。

それにしても折木くん、今回の話はどれも積極的に動く部分が目立ってて「やらなくてもいいことはやらない」精神が無くなってきてる気がするんだけど、どうなんだろう。長い休日が終わり始めて、奉太郎自身も成長しているって解釈で大丈夫なんだろうか。もしそうなら喜ばしい限りです笑。

 

ということで『いまさら翼といわれても』でした。いやー「ほろ苦い青春群像劇」を謳う古典部シリーズも今回は「灰色の青春群像劇」だと思いましたね笑(良い意味で)。最初は黒くても構わない、徐々に白くしていけばきっと良い未来がある。そうやって進んでいくための大きなスタート地点に立った所なんだと思いました。次巻は何年後になるのでしょうか...気長に待っています。

 

(追記)

読んだ方に聞きたいのですが、「一年生は来ていない」っていう摩耶花の語りは、古典部に新入部員が入ったということなんでしょうか。それとも『ふたりの距離の概算』の大日向のことを言ってるんでしょうか。曖昧な表現で書かれていたので勘違いしていたらごめんなさい。(更に追記分) 奉太郎でなく摩耶花の間違いでした。

 

 

 

『ハリー・ポッターと呪いの子 第一部・第二部』: 感想

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↑Amazomだと英語版も手に入るようです

 

 

※若干ネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

 

 

(あらすじ)

8番目の物語。19年後。

ハリー・ポッターと死の秘宝』での戦いから19年が経ち、父親となったハリーが2人目の子どもをホグワーツ魔法学校へと送り出したその後の物語です。
ハリー・ポッターとして生きるのはもちろんたいへんなことだったのですが、その後のハリーも決して楽ではありません。今やハリーは、夫として、また3人の子を持つ父親として、魔法省の激務に押しつぶされそうな日々をすごしています。
ハリーがすでにけりをつけたはずの過去と取り組まなければならない一方、次男のアルバスは、望んでもいない “ハリー 一家の伝説" という重圧と戦わなければなりません。 過去と現在は不吉にからみあい、父も子も痛い真実を知ることになります。

闇はときとして思いがけないところから現れるのです。

(Amazon 内容紹介 より抜粋)

 

これは小説ではなく、脚本です。セリフの上には登場人物の名前が書かれており、ほとんどが会話文で構成されています。

 

正直この本を読むべきかどうかかなり迷っていました。というのもブログ主、ハリー・ポッターシリーズは小学生の頃にハマりにハマって(映画の方ですが)、賢者の石とアズカバンの囚人はDVDが擦り切れるぐらい観て育った人なので、この話は7話で綺麗に終わらせたから良いのだと思っていたんです。

けれどこの本の帯に「8番目の物語」なんて書いてあるじゃないですか。あの世界にもう一度入ってみたかったんです、、

 

読んでて思ったのがファンサービスが多いです。ブログ主の好きな『アズカバンの囚人』でも大きな鍵となった「逆転時計(タイムターナー)」が本書でも登場します。

その他にも過去に死んだはずのセドリック・ディゴリーなど、かつての主要キャラも再登場します。

 

『死の秘宝』を読み終えたのが随分昔でハリーたちがどんなキャラだったか思い出すのに時間がかかったんですが、ドラコの更生ぶりに驚かされました。一人息子のスコーピウスを思い、時にはハリーたちと協力して事件を解決しようとする場面は読んでて泣きそうになりました。

 

もっと嬉しかったのがスネイプ先生です。

やっぱり根は良い人だったんだなと改めて思いました(これ読むまでまだ半信半疑だった自分が憎い笑)。

 

そして本題の内容なのですが、

そうですね、読んでる時は「ハリーにまた会えた!」と興奮しまくっていたんですが、過去の話を掘り下げる(逆転時計を使う)場面が多かったり、その整合性に少し無理があるかなと思う箇所も目立ちました(世界線の問題はどうなってるんだ?とも)。

ただ、ハリポタファンであるブログ主一個人の意見としては「面白かった」「楽しませてもらった」と言いたい。確かに「アズカバンの囚人」のような最初から仕組まれた巧妙な辻褄はなかったものの、これはこれで自信を持って「8番目の物語」と言えると思いました。

 

基本的にこの話は今までハリー・ポッターシリーズを楽しんで下さった方へのプレゼントのような話なんだなと感じました。八番目の物語と銘打たれていますがハリー・ポッターの話で必要不可欠な重要な話だというわけではなく、「ハリー・ポッターを初めて読んでいた時の楽しさをもう一度味わいたい」という方におすすめできる作品です。

 

元々この話は舞台用に書かれた脚本であって、実際に舞台も上演されたらしいのですが、是非ブログ主も観てみたいと思いました。色々場面が変わり、場所も人も変わるので物凄く豪華で大変そう、、

 

(追記)

そういや映画の方でもハリーポッター世界の続編(?)、過去編である『ファンタスティックビーストと魔法使いの旅』が11/23から公開されるそうです。舞台はイギリスからニューヨークへ、逃げ出した魔法生物たちを捕まえる旅に出かける!ブログ主は残念ながら観に行く予定はないですが、とても面白そうな映画なので是非に!

https://youtu.be/qPNnKsoqRI4

 

 

 

『ブラック・ジャック』を振り返る

手塚治虫マンガ家デビュー70周年」ということで、ブログ主も大好きな手塚治虫さんの作品を振り返ってみようと思います。

 

※今回は本紹介ではありません。

 

ブログ主が読んだことがある手塚治虫さんの漫画は「火の鳥」「ブッダ」「ブラック・ジャック」「アドルフに告ぐ」の四作品だけなんです(手塚ファンとは言いきれませんね、、)。

 

この中で特に思い入れのある作品が「ブラック・ジャック」です。

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皆さんもご存知だと思いますが、彼は「医者」です(無免許、規定外の料金請求など多少悪な所もありますが)。

ブログ主にとっては彼は一番「命」の大切さを思ってる医者だと思っています。

 

爆発事故に巻き込まれ、母親を失った間黒男(はざまくろお)少年。彼自身も重傷を負いますが本間先生の必死のオペで奇跡的に回復します。

 

ここで彼の中には爆発事故を起こし、母を殺した首謀者に対する復讐の心と、本間先生の感謝を胸に医者になる決意をします。「ブラック・ジャック」と言う名前にも彼の白髪交じりの黒髪も復讐心と命を大切にする心が入り乱れているのが伝わりました(あくまで個人的見解です。手塚さんがそういう胸中で描いたのかは分かりません)。

 

彼は患者から法外な料金を請求します。

周りの人からは「金持ちにしか相手にしない悪い医者」というレッテルを貼られてしまうこともあります。

しかし彼はそんな世間の目を気にしません。医者免許も取らず小さな小屋で診療所を開いています。

 

ブログ主が小学生の頃は、ブラック・ジャックが何でこんなことをするのか理解できませんでした。

どんな病気でも治してくれる最高の医者である反面、桁違いのお金を要求したり事故で目の前に重体の患者を目にしても他の医者に任せたりするのです。

 

「型にはまることが嫌いだから」と医者免許を取らない理由としてブラックジャックが言っています。

 

ヤングブラックジャック」を読んだことがないブログ主でも彼の学生時代は不良じみていたんだろうということは予想できます。彼の顔を見て近づこうとする人はあまりいないでしょうし、、

 

人との関わりを避けていた彼が「型にはまりたくない」と言ってるのはまあ当然ですね。

 

そんな彼だけど、「命」の大切さについては誰よりも良く知っています。そして人から受けた恩を絶対に忘れません。

 

畸形嚢腫でも、必要な臓器が全て残っていて救える「命」だと判断した彼が「ピノコ」を生み出したように。

僅かな可能性でも救える「命」には真剣に向き合う医者であり、誰よりも「命」の大切さを知っている医者なのです。

 

法外な料金を請求するのは患者が「命」を大切にしてほしい彼なりの考えなんだろうと思いました。

 

ブラックジャック本人についての話はここまでにして。

 

ブログ主が「ブラック・ジャック」の中で個人的に好きだった話を紹介します。(あらすじと画像はこちらから引用させて頂きました→ http://www.akitashoten.co.jp/special/blackjack40/list )

 

1、191話「助け合い」

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(あらすじ) 某国で身に覚えのない殺人事件の犯人にされそうになったB・Jを救ったのは、アリバイを立証してくれた日本人の蟻谷だった。B・Jはいつか恩返しをすると約束した。時は流れ、蟻谷は会社の不正発覚を恐れた上司から、すべての罪を背負って死んでくれと頼まれる。B・Jはニュースで蟻谷が自殺を計ったと聞き、大慌てで病院へ駆け付けた。

 

(解説) ブラックジャックが奔走する姿に泣けます。車が渋滞に捕まってもボートを即金で支払ってまで病院へ向かったり、その病院も20億円で買い取ったり、、全ての財産を使ってでも恩人を救い出そうとするブラックジャックに感動しました。

 

2、168話「死への一時間」

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(あらすじ) キリコは新薬を手に入れた。服用すればおだやかに眠り、一時間後に心停止する、という毒薬だ。そんな薬とは知らず少年は心臓病の母のためにと薬を盗んだ。B・Jとキリコが少年の家を突き止めたときにはすでに母親は薬を服んだ後だ。一時間で母親は死ぬ。B・Jはタイムリミットぎりぎりまで命を救うためにメスをふるう。

 

(解説) 「二人の黒い医者」では敵同士であった二人が毒薬を飲んで死にかかっている患者を協力して助け出す話です。最後の「どうだい大将、人を殺すのと助けるのとではどちらが好きかね?」と聞いたブラックジャックに対して「ふざけるな おれも医者のはしくれだ。命が助かるに越したことはない」と答えるキリコが好きです。

 

3、 82話「おばあちゃん」

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(あらすじ) その老婆はとても金に細かくてガメツかった。何かを頼めばすぐに「金、金」なので、息子夫婦はいいかげん、ウンザリしていた。その老婆と出会ったB・Jは、彼女から世の中には本当の名医はふたりいる、ひとりはB・J、もうひとりは甚大先生と教えられた。調べてみると甚大はB・Jと同じように高い治療費を請求することで有名な名医だった--。

 

(解説) ガメついおばあちゃんのお金の使い道がまさかそんなことだったなんて、、息子さんも最後にちゃんとそのことに気づけて良かった。「い、いいですとも!一生かかってもどんなことをしても払います!きっと払いますとも!」よく言ったぞ息子!

 

4、151話「お医者さんごっこ」

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(あらすじ) とても演技の上手な男の子キートンは、いつもコングという図体のでかい級友にイジメられていた。そのコングの妹はずっと病気で寝たきりで、治るにはB・Jの手術が必要だと信じている。コングは妹のためにB・Jを演じてくれとキートンに頼んだ。キートンは嫌々ながらもB・Jを演じることになる。

 

(解説) キートンもイジメていたコングも妹のために二人で頑張る姿に心打たれました。ブラックジャックが治してあげねばって思ってしまうのも当然ですね!

 

5、44話「二つの愛」

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(あらすじ) B・Jが通うすし屋の職人タクヤンは日本一の寿司を握ってふるさとの母親に食べさせるのが夢だった。そんな彼がトラックに轢かれ、両腕を失ってしまう。しかし彼は運転していた明を訴えない。その代わり、自分の代わりに寿司を握ってくれと頼む。君の腕を使って僕は寿司を握りたいと--。

 

(解説) 好きな話の中ではこの話だけバッドエンドになりますが、とても思い入れのある話です。両腕を失ったすし屋職人のためにトラック運転手が腕を差し出す。最後の悲劇も悪い人が居ないから(事故の連続)よけい悲しくなる。短編なのにとても内容の濃い話です。

 

如何でしたでしょうか。今回は手塚治虫の「ブラック・ジャック」を振り返ってみました。ふと思い出した時にまた読みたくなる漫画というのはやはり名作だからなんですね。これを機にもう一度読み返してみようという方もまだ読んだことがないという方も手塚治虫の世界に触れてみては。

 

 

(追記)

 

余談ですが、アニメ版のブラック・ジャックも観ました。原作を大幅に改変した内容になっているな、と感じましたがこれはこれでとても楽しめました。

 

先に原作を読んでたブログ主がこのアニメで特に良かったというか嬉しかった所は、原作では死んでしまった患者が助かる所です。

 

放送にあたって色々配慮した結果なのでしょうが、バッドエンドがハッピーエンドになることほど嬉しいことはないです(原作が訴えるメッセージ性は薄れてしまうかもしれませんが、あくまでも現実的に考えて)。

 

「二人のピノコ」でピノコの顔を作るモデルになった女の子、ロミちゃんが生きていた時は思わず嬉し泣きしてしまいました(笑)。原作では亡くなってしまってブラックジャックが悲しむ顔で締められていたので、、

 

他の話でもバッドエンドは数々存在するブラック・ジャックですがこの話の子だけは救って欲しかっただけに、アニメを企画してくださった手塚眞さんに感謝しかありません。