黒い虹と気球

小説や漫画の本中心に感想など

『ペンギン・ハイウェイ』: 感想

ペンギン・ハイウェイ (角川文庫) https://www.amazon.co.jp/dp/B00AR76UAU/ref=cm_sw_r_cp_api_VvK-xb06EJYEA

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お気に入りの小説の一つ。

 

作者である森見登美彦さんの小説はどれも面白くて好きです(京都に下宿している大学生の生活を描いた「四畳半神話大系」、京都に暮らす狸たちを描いた「有頂天家族」など)。京都を舞台にした話を書かれることがほとんどなんですが、「ペンギン・ハイウェイ」は珍しく京都が舞台ではない、どこかの住宅地。主人公が引っ越してきた時はまだ殺風景な所だったが、しばらくしてどんどん周りに家が建っていったらしい。

 

主人公は小学四年生の「ぼく」(アオヤマくん)。最年少の主人公です。

このアオヤマくん、とても賢く(同級生には少し変わってると思われてる)、思ったことを常にメモして考える力があります。論理的に物事を考え、頭の中で整理する、他の同級生よりもしっかりとした少年なんです。お陰で語り部もしっかり畏まっています。

アオヤマくんは歯科医院で出会った「お姉さん」と仲良しで、「海辺のカフェ」という喫茶店(海の近くではない)でお姉さんとよく話をします。このやりとりがとても楽しくて面白い。論理的に話をふっかける「ぼく」をお姉さんが軽く返す会話が話を和ませてくれる。

 

本題の「ペンギン」。

アオヤマくんが「お姉さん」と話していた時、突然「お姉さん」にペンギンを生み出す能力があることが発覚します。何事にも興味を示すアオヤマくんはそのことに興味津々。なんとかしてお姉さんの持つ特殊能力を解明しようと試みます。

賢い「ぼく」はこの異常現象を真剣に考え、思いついたことをすぐさまメモし、同級生も巻き込んで「お姉さん」のことを調べ尽くします。けれどさっぱり分かりません。

「お姉さん」自身も分からないというこの現象を一体どうすれば解明できるのでしょうか。

 

実際のところ、この現象の解明は名目上であってアオヤマくんは「お姉さん」と話をするのが大好きなんです。読んでるとそれがすごく伝わってくる。

アオヤマくんが「賢い」のは、"論理的に物事を考えることができる"から。分かったことをメモし整理しながら思考を積み重ね、結論を導き出す。その過程が小学四年生とは思えない彼の賢さが垣間見える。成る程と納得させられます。中には奇想天外な発想もあって面白い。

 

色んな思い入れのある一冊です。個人的には「森見登美彦を初めて知った作品」。

 

 

(追記)

森見登美彦さんが推薦されていた「ランボー怒りの改新」(著: 前野ひろみち)という本を先日読んだ。これがまた面白かった。奈良を舞台とした短編集。