黒い虹と気球

小説や漫画の本中心に感想を書きます (本によって発売直後に感想を書いている場合があります。ネタバレなどにはご注意ください)

『ブラック・ジャック』を振り返る

手塚治虫マンガ家デビュー70周年」ということで、ブログ主も大好きな手塚治虫さんの作品を振り返ってみようと思います。

 

※今回は本紹介ではありません。

 

ブログ主が読んだことがある手塚治虫さんの漫画は「火の鳥」「ブッダ」「ブラック・ジャック」「アドルフに告ぐ」の四作品だけなんです(手塚ファンとは言いきれませんね、、)。

 

この中で特に思い入れのある作品が「ブラック・ジャック」です。

f:id:galileo8:20161108220407j:image

皆さんもご存知だと思いますが、彼は「医者」です(無免許、規定外の料金請求など多少悪な所もありますが)。

ブログ主にとっては彼は一番「命」の大切さを思ってる医者だと思っています。

 

爆発事故に巻き込まれ、母親を失った間黒男(はざまくろお)少年。彼自身も重傷を負いますが本間先生の必死のオペで奇跡的に回復します。

 

ここで彼の中には爆発事故を起こし、母を殺した首謀者に対する復讐の心と、本間先生の感謝を胸に医者になる決意をします。「ブラック・ジャック」と言う名前にも彼の白髪交じりの黒髪も復讐心と命を大切にする心が入り乱れているのが伝わりました(あくまで個人的見解です。手塚さんがそういう胸中で描いたのかは分かりません)。

 

彼は患者から法外な料金を請求します。

周りの人からは「金持ちにしか相手にしない悪い医者」というレッテルを貼られてしまうこともあります。

しかし彼はそんな世間の目を気にしません。医者免許も取らず小さな小屋で診療所を開いています。

 

ブログ主が小学生の頃は、ブラック・ジャックが何でこんなことをするのか理解できませんでした。

どんな病気でも治してくれる最高の医者である反面、桁違いのお金を要求したり事故で目の前に重体の患者を目にしても他の医者に任せたりするのです。

 

「型にはまることが嫌いだから」と医者免許を取らない理由としてブラックジャックが言っています。

 

ヤングブラックジャック」を読んだことがないブログ主でも彼の学生時代は不良じみていたんだろうということは予想できます。彼の顔を見て近づこうとする人はあまりいないでしょうし、、

 

人との関わりを避けていた彼が「型にはまりたくない」と言ってるのはまあ当然ですね。

 

そんな彼だけど、「命」の大切さについては誰よりも良く知っています。そして人から受けた恩を絶対に忘れません。

 

畸形嚢腫でも、必要な臓器が全て残っていて救える「命」だと判断した彼が「ピノコ」を生み出したように。

僅かな可能性でも救える「命」には真剣に向き合う医者であり、誰よりも「命」の大切さを知っている医者なのです。

 

法外な料金を請求するのは患者が「命」を大切にしてほしい彼なりの考えなんだろうと思いました。

 

ブラックジャック本人についての話はここまでにして。

 

ブログ主が「ブラック・ジャック」の中で個人的に好きだった話を紹介します。(あらすじと画像はこちらから引用させて頂きました→ http://www.akitashoten.co.jp/special/blackjack40/list )

 

1、191話「助け合い」

f:id:galileo8:20161108231827j:image
(あらすじ) 某国で身に覚えのない殺人事件の犯人にされそうになったB・Jを救ったのは、アリバイを立証してくれた日本人の蟻谷だった。B・Jはいつか恩返しをすると約束した。時は流れ、蟻谷は会社の不正発覚を恐れた上司から、すべての罪を背負って死んでくれと頼まれる。B・Jはニュースで蟻谷が自殺を計ったと聞き、大慌てで病院へ駆け付けた。

 

(解説) ブラックジャックが奔走する姿に泣けます。車が渋滞に捕まってもボートを即金で支払ってまで病院へ向かったり、その病院も20億円で買い取ったり、、全ての財産を使ってでも恩人を救い出そうとするブラックジャックに感動しました。

 

2、168話「死への一時間」

f:id:galileo8:20161108230200j:image
(あらすじ) キリコは新薬を手に入れた。服用すればおだやかに眠り、一時間後に心停止する、という毒薬だ。そんな薬とは知らず少年は心臓病の母のためにと薬を盗んだ。B・Jとキリコが少年の家を突き止めたときにはすでに母親は薬を服んだ後だ。一時間で母親は死ぬ。B・Jはタイムリミットぎりぎりまで命を救うためにメスをふるう。

 

(解説) 「二人の黒い医者」では敵同士であった二人が毒薬を飲んで死にかかっている患者を協力して助け出す話です。最後の「どうだい大将、人を殺すのと助けるのとではどちらが好きかね?」と聞いたブラックジャックに対して「ふざけるな おれも医者のはしくれだ。命が助かるに越したことはない」と答えるキリコが好きです。

 

3、 82話「おばあちゃん」

f:id:galileo8:20161108230209j:image
(あらすじ) その老婆はとても金に細かくてガメツかった。何かを頼めばすぐに「金、金」なので、息子夫婦はいいかげん、ウンザリしていた。その老婆と出会ったB・Jは、彼女から世の中には本当の名医はふたりいる、ひとりはB・J、もうひとりは甚大先生と教えられた。調べてみると甚大はB・Jと同じように高い治療費を請求することで有名な名医だった--。

 

(解説) ガメついおばあちゃんのお金の使い道がまさかそんなことだったなんて、、息子さんも最後にちゃんとそのことに気づけて良かった。「い、いいですとも!一生かかってもどんなことをしても払います!きっと払いますとも!」よく言ったぞ息子!

 

4、151話「お医者さんごっこ」

f:id:galileo8:20161108230216j:image

(あらすじ) とても演技の上手な男の子キートンは、いつもコングという図体のでかい級友にイジメられていた。そのコングの妹はずっと病気で寝たきりで、治るにはB・Jの手術が必要だと信じている。コングは妹のためにB・Jを演じてくれとキートンに頼んだ。キートンは嫌々ながらもB・Jを演じることになる。

 

(解説) キートンもイジメていたコングも妹のために二人で頑張る姿に心打たれました。ブラックジャックが治してあげねばって思ってしまうのも当然ですね!

 

5、44話「二つの愛」

f:id:galileo8:20161108231952j:image
(あらすじ) B・Jが通うすし屋の職人タクヤンは日本一の寿司を握ってふるさとの母親に食べさせるのが夢だった。そんな彼がトラックに轢かれ、両腕を失ってしまう。しかし彼は運転していた明を訴えない。その代わり、自分の代わりに寿司を握ってくれと頼む。君の腕を使って僕は寿司を握りたいと--。

 

(解説) 好きな話の中ではこの話だけバッドエンドになりますが、とても思い入れのある話です。両腕を失ったすし屋職人のためにトラック運転手が腕を差し出す。最後の悲劇も悪い人が居ないから(事故の連続)よけい悲しくなる。短編なのにとても内容の濃い話です。

 

如何でしたでしょうか。今回は手塚治虫の「ブラック・ジャック」を振り返ってみました。ふと思い出した時にまた読みたくなる漫画というのはやはり名作だからなんですね。これを機にもう一度読み返してみようという方もまだ読んだことがないという方も手塚治虫の世界に触れてみては。

 

 

(追記)

 

余談ですが、アニメ版のブラック・ジャックも観ました。原作を大幅に改変した内容になっているな、と感じましたがこれはこれでとても楽しめました。

 

先に原作を読んでたブログ主がこのアニメで特に良かったというか嬉しかった所は、原作では死んでしまった患者が助かる所です。

 

放送にあたって色々配慮した結果なのでしょうが、バッドエンドがハッピーエンドになることほど嬉しいことはないです(原作が訴えるメッセージ性は薄れてしまうかもしれませんが、あくまでも現実的に考えて)。

 

「二人のピノコ」でピノコの顔を作るモデルになった女の子、ロミちゃんが生きていた時は思わず嬉し泣きしてしまいました(笑)。原作では亡くなってしまってブラックジャックが悲しむ顔で締められていたので、、

 

他の話でもバッドエンドは数々存在するブラック・ジャックですがこの話の子だけは救って欲しかっただけに、アニメを企画してくださった手塚眞さんに感謝しかありません。